クーポン・マニュアル
ver.1.0
1999/03/27



禁無断転載

草津コミュニティ支援センター事務局準備会




はじめに

昨年5月にセンターがオープンして以来、もうすぐ1年が経とうとしています。全国的にも例の少ない、市町村レベルでの市民活動を支援するセンターであり、また「自主管理方式」「パートナーシップ型運営」ということで先例もなく、その具体的な運営、関わりの見えにくい1年でした。とはいえ、「ただの箱」としてあったセンターも、様々なグループの方が利用していくにつれ、だんだんとその認知度も高まってきて、利用実態としても毎日誰かがいるということで、まずまずの活況になってきたようです。そして2年目に入る本年度、この1年の反省や改善を通して、いよいよその存在意義が問われようとしています。

 事務局準備会では、センターに事務局をつくろうと様々なことを考えてきました。まずはセンターを毎日オープンさせ、センターに関わるグループどうしの交流をもっと活発にしていこうという趣旨のもと、様々な話がされてきました。事務局に専従スタッフやパートをおこうという話もされましたし、いろんな事業を行っていこうという話もされました。そんな中で出てきたのが、今回、実験をしようとしている「クーポン」の話でした。
 ことの発端は「センターの運営はボランティアでやるのがいいけれど、誰かに負担が集中するのではなく、みんなが気持ちよく運営に関われるような合理的なしくみ、制度はないだろうか」という「問い」でした。その「問い」をもちながら、次のようなことをどうしたら実現できるのか、準備会では議論を重ねてきました。

・センターをもっと利用しやすくしよう(お金がかからないようにしよう)
・センターの魅力はそこに集まる人たちなので、その人たちのもっている能力や経験、
 ネットワークをもっと交換・交流しよう
・センターを運営することが団体にとって&個人にとってメリットあるものにしよう
・センターを運営することでそれぞれの団体が豊かになるようにしよう
・そして草津というコミュニティが豊かで暮らしやすいまちになるようにしよう

 このクーポンがセンター運営に有効なのか、そして上にあげたような思いを本当に実現できるのか、それが今回の実験をしてみようということの出発点です。そしてそれは、とりもなおさず、みんなで実験をして問題点を議論し、改善していくことで実現可能になることだと思います。このマニュアルはそのために作成されました。

 ぜひクーポン制度の実験を成功させ、よりよいセンター運営、市民活動のあり方をさぐっていき、それぞれのグループがいきいきと活動できるセンターづくり、暮らしよい草津というコミュニティをつくっていきましょう。


●クーポンの考えかた
ここではクーポンの具体的な利用法、発行方法について考えます。
もっとよりよく理解したい方は、ホームページ「コミュニティネットくさつ」の「まちづくり
データベース」のコーナーに、クーポン委員の間で資料として使ったものがおいてあります。
ぜひインターネットを体験するついでに見てみてください。
http://www.kusatsu.or.jp/

クーポンの意味するもの

 1クーポンは自分が1時間でできる仕事の価値を表す基本単位です。

 現金換算では一応、500円を目安にしていますが、厳密なものではありません。これは、同じ仕事をしても人によっては500円を要求する人もいれば1000円を要求する人もいるように、同じ仕事をしてもある人は1クーポンを設定し、またある人は2クーポンを設定するかもしれない、ということを表しています。

人によって仕事の価値は違うのです。特にボランティア活動や市民活動は、その価値は現金の価値に置き換えられるものではありませんし、そうすべきではないところが多分にあります。

クーポンの考え方で重要なのは、自分のできるサービスやボランティアを自分がクーポンで値段を決めるということです。高度な技術や資格を要する仕事は、十分に現金換算のできる価値ある仕事ですから、無理にクーポンで換算する必要はありません。

自分の仕事をクーポン換算する基準は、自分が無理なく、楽しく、喜んで他人に対して提供できるサービスやボランティアをすること、それが1クーポンである、と考えてもらえればいいでしょう。

金銭価値では置き換えられないサービスやボランタリーな労働に、それぞれの人がクーポンというかたちで思い思いに「価値」を与え、その価値を表す情報(=これがクーポンです)をみんなで共有することによって、その交換をやりやすくしようというのが、クーポンを導入する狙いです。

このあたりは、アメリカはニューヨーク州で行われている「イサカアワー」の例をビデオで見るなどして理解の助けにしましょう。このビデオは英語版なので、現在、日本語のふきかえ作業をしています。センター事務局が持っていますので、希望される方はお貸しします。

クーポンの発行・使用について
今回の実験では当面の2ヶ月間を試用期間として、以下のような方法でクーポン
運用をしてみます。つまり4月中旬から実験を開始し、6月には一度、見直しを
する、一種の時限実験だということです。しかし、原則として本年度、一年間は
これを運用してみてその効果を測定したいと思います。

●クーポン発行とその手続き
・クーポン登録者リストへの登録をすると4クーポンが事務局より発行されます。
(なぜ4クーポンなのか、これにはあまり根拠はありません。ただ1クーポンでは
使ったらたちまちなくなり、10クーポンでは使い切らない。そんな思いから、
これくらいが妥当ではないか、と思っています)
・クーポン登録者リストへは登録用紙で行います。

(項目)
1.氏名
2.連絡先 連絡ボックスor電話番号(可能な人)or電子メールアドレス

3.自分が提供できるサービス、ボランティア(例を参照)
4.その値段(必要クーポン数)
5.自分がしてほしいサービス、ボランティア(例を参照)
6.その値段(提供クーポン数)
 (提供できるサービス、ボランティアの例)
   内山 おいしいパスタのつくり方を教えます    2クーポン(材料費は自己負担)
   山本 センターで託児をします          1クーポン/1時間
   北斎 催しのチラシをデザインします       2クーポン(材料費は自己負担)
   黒沢 ビデオの編集をします           3クーポン(20分程度のもの)
 (自分がしてほしいサービス、ボランティアの例)
  災害ボラ ニュースレター発送を手伝ってほしい        1クーポン/1時間
   山口 NPO関連のニューススクラップづくり手伝ってほしい  1クーポン/1週間
   でじまむ グループのミーティングのときに子どもを見てほしい 1クーポン/1時間
   コンサートチケット(○月○日)          1クーポン
   ○○講座の受講料                 2クーポン
・ クーポン登録者リストへの登録は、個人、団体どちらでも可とします。
・ 「センター」も一つの団体とすると以下のようなことを登録することになります。
   センター2階ホールの使用権(1区分)      2クーポン
   センター和室の使用権(1区分)         1クーポン
 つまり、センターの運営に関わること=センターと「便益を交換する」こととなります。
・登録に際しては、いくつでも自分のサービス、ボランティアを書いてけっこうです。
・このリストは登録者全員に配布され、また、センターにも大きく掲示することとします。

●クーポンの使用
・センターの利用に際してクーポンを使用する際には、センター事務局のクーポン担当者に
クーポンを渡すようにしてください。
・他の人のサービス、ボランティアをクーポンと「交換」しようとするときは、本人と
よくコミュニケーションをするようにしましょう。
コミュニケーションをするための補助手段として情報ボックス、電話、電子メールなど
を使用して本人に申し込むことをおすすめします。
・クーポンを使用し、受け取った人は、クーポンの裏面にある欄に、自分の名前と日付を記入するようにしてください。このデータはあとで実験を実証する際の貴重なデータとなります。
・個人的に得たクーポンをグループ、団体がセンター利用をする際に使用することは、
 それぞれの団体の判断におまかせします。
・その逆に、グループ、団体として得たクーポンを、そのメンバーに分配することも、これも
それぞれの判断におまかせします。
・これらのことで問題が出てきたときは、クーポン委員会でぜひ話し合いましょう。




注意事項

・クーポンには「通し番号」が入っていますが、これをみだりに消したりしないようにして
 ください。クーポン制度の問題点や改善点を洗い出すことの妨げになります。
・決してクーポンを偽造しないでください。そのようなことがあった場合には、センター運営
 会議にてその処分について討議することとします。したくないですが…。
・クーポンは現金と引き替えはできません。また、クーポンと実際の現金の併用は現段階ではしないでください。混乱のもとになります。
   例)おいしいクッキーの焼き方教えます 500円+1クーポン(材料費は自己負担)×
・今回の実験は全国的に見ても先駆的な取り組みです。ぜひ成功させて「草津方式」として
出版をなどをし、その収益をセンター運営に充当していきましょう。
・そのためにも、今回の実験データの知的所有権は、個々の運営団体およびセンター事務局
および草津コミュニティ支援センターにあるものとし、データの使用や発表については、
そのつど協議をすることにしましょう。




ぜひ、クーポン実験にご協力ください!
お願いいたします。


〒525-0037 草津市西大路町10-12
草津コミュニティ支援センター事務局
クーポン運営委員会
TEL 077-563-0932 / FAX 077-565-7137
(不在の時は 077-565-0477へ)
E-mail: npo@kusatsu.or.jp
http://www.kusatsu.or.jp/


クーポン運営委員
○内山 博史
(草津市災害ボランティアネットワーク)
金澤 恵美
(個性心理学個育てネットワーク)
堤 幸一
(環境市民・滋賀)
山口 洋典
((財)大学コンソーシアム京都NPOスクール)

(○:委員長)







連絡先

特定非営利活動法人
地域通貨おうみ委員会


ohmi@kaikaku21.com

〒525-0034
滋賀県草津市草津2丁目8番25号
電話・FAX 077-562-1153


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