目 次 | 地域通貨 | ありがとう券 | 資料室 | ||||||||||||||||||||||
【おうみ】 地域通貨「おうみ」とは? | |||||||||||||||||||||||||
「おうみ」は、コミュニティを支えるための寄付金(カンパ)100円 につき、そのお礼として1おうみが発行されます。 ■ おうみの使い方 おうみには、1、10おうみの2種類のカードがあります。 おうみは換金できませんが、1おうみ=100円の社会的価値に相当します。 おうみは、「ありがとう」のお礼の印であり、買い手が評価し感謝の気持ち を込めてお渡しください。 1件のサービス(90分)につき10おうみを基準に各自ご判断ください。 なお、してほしいサービスや提供できるものがありましたら、地域通貨おう み委員会までご連絡ください。 おうみ達人リストに掲載する情報を集めたり、「できること」や「してほしいこと」をコディネートします。 「ひとの駅」(毎月第3土曜日の本陣土曜市では「おうみマーケット」を開設)で、お買い物が楽しめます! ■ おうみファンド(寄付金)の活用について 「おうみファンド」は、おうみの循環に資する事業などをおこない、これによりコミュニティの活性化を図ることを目的に設置しています 。 運用にあたっては、おうみのミッションに基づき適正でかつ効率的・効 果的な活用に努めると共に、すべての情報を公開します。 ※2002年度には、草津コミュニティ支援センターに20万円分のありがとう券を寄付させていただきました。 ■ 最後に この事業は、すべて市民からの寄付金とボランティアによって運営されていま す。また、おうみはその趣旨に賛同いただける方々の自発的な関わりと 、善意の力により成立するひとつのコミュニティです。 ご協力とご理解いただいたうえで、活用いただきますようお願い申し上げます。
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おうみシステム貸出制度について 1. 貸出対象 滋賀県内で活動し、かつ団体又は団体の代表者が委員会の正会員として登録して委員会の運営に協力する非営利の活動団体または個人とします。 2. 貸出内容 おうみシステム(紙券の利用および運用方法)を1年間無償※で貸与します。 3. 運用方法 (1)おうみの配布方法 おうみの配布方法については、次の2通りの方法があります。 @ 貸出団体がおうみを直接配布する場合 貸出団体に対してボランティア等で協力いただいた方に対して、そのお礼の印としておうみを差し上げます。配布したおうみが使えるよう「おうみマーケット」を定期的に開催したり、受け入れていただける人や商店などを募ったりしてください。また、配布団体は最終的には借り入れたおうみを返却する必要がありますので、自分たちの活動にできるだけ多くおうみが使えるようにして回収する工夫をしてください。 A 貸出団体が配布する以外の方法でおうみを入手したい方がいる場合 貸 出団体の加盟者が上記により受け取る以外でおうみを手に入れたい場合や、配布団体の会員以外の方がおうみを入手したい方がいる場合は、別紙ユーザー登録書により所定の手続きをお願いします。 なお、ユーザー会員(配布団体の会員以外の人)は年間500円の会費が必要です。登録用紙および会費については、委員会までお願いします。 ※貸出団体の会員は、団体として一括してユーザー登録していますのので、別途会員登録していいただく必要はありません。 (2)おうみファンドの管理方法 おうみファンドの管理・運用については、次の2つの方法があります。 @ ファンドを委員会で管理する方法 この場合は、集まった寄付金(および申請用紙)を委員会に納入してください。おうみファンドの活用方法については、できるだけ団体の意向に添うように考慮します。 A ファンドを貸出団体が管理する方法 貸出団体が、自主的に管理し別添「おうみファンド活用マニュアル」に沿って活用してください。 4. 貸出期間終了後の清算方法 貸出期間終了後、貸出団体は当初に借り入れたおうみ紙券を返却してください。会員に渡っているおうみの回収については、イベントや代替のものへの交換等工夫してください。 なお、不足分については基本的にはファンドへの寄付などによって清算願います。 ただし、各団体の事情も考慮しますのでご相談ください。 |
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おうみ貸出制度について(追加説明) 貸出制度は、主体間のコミュニケーションを促進し、地域における共通の価値創造を図るために地域通貨を活用し、地域における自己決定に基づく自立した主体同士の協働によって様々な実践活動をおこなうことを通じて、地域社会の持続的発展にコミットメントしていくことを目的として実施するものである。 1.貸出先 自治会 市民活動団体 プロジェクト 商店 企業 教育機関 その他 2.貸出内容 貸出を希望する団体に対して、構成メンバー1人につき10おうみを上限としておうみの貸出をおこなう。 3.管理方法 貸出団体は、3ヶ月ごとに配布(在庫)状況を事務局に報告する。 報告に基づいて、ネット上で公開する。 不足団体は、他団体に事業協力するなどしておうみを獲得することによって、交流を深める。 4.基本原則(共通ルール) おうみは、換金することはできない。 個人がおうみを受け入れるためには、サービス等を提供するか、もしくは団体等へ寄付する。 寄付されたお金は、団体等の活動経費として活用することができる。 貸出を受けた団体等が脱会する場合は、借り入れたおうみを委員会に返却しなければならない。 おうみで返却できない場合は、一定額の寄付等によって決済することもできる。 |
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おうみファンドの活用に関する要綱 2003年1月7日改定 おうみファンドとは、パブリックな価値を支えるため志ある市民の寄付金によって形成され、それぞれの目的ごとに活用します。 おうみファンドは、次の3種類で構成されます。 (1) 地域活性化のための寄付金 (2) 地域通貨事業の運営および利用促進に対する寄付金 (3) 各種プロジェクトに対する寄付金 《運用方法》 (1) 地域活性化のための寄付金 コミュニティ活性化や地域の持続的発展に寄与する事業に対して寄付されるもので、市民活動の支援や福祉・環境・ボランティア促進などのために活用します。 運用にあたっては、特定非営利活動法人地域通貨おうみ委員会の理事会が社会状況や地域のニーズ並びに寄付者の意向等を考慮して決定します。 (2) 地域通貨事業の運営および利用促進に対する寄付金 地域通貨の発行および運営のために寄付されるもので、寄付金100円につき1おうみが交付されます。 寄付金は、地域通貨の作成費、活動交流拠点「ひとの駅」の運営費、および地域通貨の流通促進のために活用します。 (3) 各種プロジェクトに対する寄付金 地域通貨「おうみ」を活用した各種プロジェクトの運営を支えるために寄付されるもので、寄付金100円につき1おうみが交付されます。 寄付金は、各プロジェクトの運営費として活用します。
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おうみの成り立ちと成果・課題 ■ おうみの成り立ち 地域通貨「おうみ」は、1998年5月に開設された「草津コミュニティ支援センター」で運用を始めた。 同センターはマンション開発時に企業が草津市に寄付した土地・建物を、市民がボランティアで運営している。 当初、センターの使用は無料としていたが、2年目より利用団体から使用料金を徴収し運営費に充てることとなった。同時に、お金という一元的な決済方法だけでなく、ボランティアでセンター運営や事業を支える活動に対して「おうみ」を発行し、「おうみ」をセンター使用料として支払うこともできるシステムとした。さらに、これを単にセンター内のクーポンではなく、NPOセンター(市民活動の中間支援組織)の運営マネジメントや市民公益活動の基盤づくりに活用できるように改善しながら、地域の中で流通させて現在に至っている。
■ 創設期のしくみ 導入当初の「おうみ」のしくみは、次のとおりだ。 まず、センター登録団体(40団体)はすべてこのシステムを活用するものとし、各団体に活動助成的な性格として50おうみ(5000円相当)を配布した。同時に、従来無料であった利用料金を有料化し、その利用料金を「おうみ」で支払えるようにした。さらに、「おうみ」はセンターの事業協力や施設運営への協力の度合いに応じて配布されるようにしたが、その源泉は施設利用料金であった。 「おうみ」は、イサカアワーを参考にしてシステムデザインをした地域通貨であることから基本的には紙媒体によるものだが、同時に「電子おうみシステム」と称してロータスノーツドミノを使った口座管理も行い、利用料金の支払いを銀行口座からの自動引き落としの方式と同じようにしたり、事務局スタッフへのお礼を口座に振り込んだりできるように工夫した。このことにより、料金徴収などの事務作業の軽減が可能となったり、誰がどの程度「おうみ」を保有しているのかが公開されることにより、運営への貢献度やその使い方などについて創意工夫が生まれたりする条件をつくった。 こうした機能は、単に利便性や効率性といった側面だけではなく、パブリックな価値を創造することへの主体的参画を評価し、地域全体としてそうした行為を支えていくための機能を持ったものである。電子データは、あらゆる情報を取り入れ、同時にそれを公開していくうえで有効な方法であるため、組織運営の公開性やアカウンタビリティという面からもこうした機能が有効となるのではないだろうか。 (補足)地域通貨とICカード 地域通貨は、「貨幣」という側面よりもむしろ「コミュニティ」や「文化」「メディア」といった視点からとらえる方が妥当だ。この意味で、ICカードは従来の磁気メディアのような通貨量を表す一元的な数値上のデーターだけではなく、より包括的なデーターをやりとりすることができるメディアとして多くの可能性を秘めている。では今後、地域通貨とICカードはどのように関連していく可能性があるのだろうか。 その可能性を考える上での参考事例として、アメリカ合衆国ミネソタ州で1993年頃から運用されているコミュニティサービスダラー(Community Service Dollars)がある。このプログラムには、1999年8月時点で43の市民活動団体、72の事業者、2100人の利用者が参加している。しくみは、ボランティアでポイントを得たユーザーが、加盟店で買い物をした場合、そのポイントを加盟店が設定した割合(例えば2割)をディスカウントとして使用できる。カードで購入した取引情報は銀行に送られ、ドルの部分はそのままユーザーの口座から引き落とされる。そして、残りの部分は加盟している市民活動団体でボランティアをした際に支払われるためにストックされるというものである。このシステムの運用コストは、ディスカウント前の価格の5%を手数料として徴収して、その手数料総額の80%を収益とし、残りの20%をボランティア組織等に配分される。 わが国では、1996年10月より長野県駒ヶ根市で展開されている電子マネーシステム「つれてってカード」がある。 「つれてってカード」は、駒ケ根市商店街によるつれてってカード協同組合と赤穂信用金庫の協力で運営され、2000年6月現在で26000枚のカードを発行。地元商店街での買い物のほか、病院や公共施設でも利用が可能となっている。また、駒ヶ根市役所にも端末が設置され、住民票や印鑑証明の発行などにともなう支払いをカードでおこなうことができるようになるそうだ。このほか、「広域・多目的利用ICカード情報化モデル事業」として運用されている岐阜県益田郡の「湯遊カード」(2000年5月現在で約2000枚発行)をはじめ、大阪吹田市にある北千里地区商店街を中心に運用実験されたマルチポイント型ICコミュニティカード「IPPOカード」(We Love 千里協議会)など、今後の展開が注目される。 地域総合カードの導入によって、自治体業務の簡素化やサービス向上、情報の多元化や各種機関とのネットワーク化によるメリット等が生まれるだろうが、オープンループ型(モンデックス)として市民相互のやりとりが可能かどうかという問題や、いわばブラックボックスの中で数値化されることによって直接的なコミュニケーションが希薄になる面をどうカバーしていくのかという課題もあるだろう。 「おうみ」運営の中では、コミュニケーションツールとして紙券という実物を使うことによって、相互扶助の実感を得ることができ、ペンで直接書き込まれた情報というものが人と人とを媒介する上で貴重なデータであることなどが分かってきた。また「おうみ」の紙券は琵琶湖の水を浄化する機能があると言われている葦(よし)でつくった紙や、地域で集めた牛乳パックを再生した用紙を使用し、「びわこづち」には琵琶湖の浚渫泥土を原料としたものを使うなど、目的に添った「関わり」や「こだわり」を感性で伝わる情報として表現している。一方で、「電子おうみ」として処理されていたデータは、多くの意味を内包していたとはいえ、利用者にとっては自動的に処理されたデータにはあまり興味を示さないという傾向もあった。 このことから、ICカードという合理的システムの中に人と人とのコミュニケーションやコミュニティ・環境・福祉などのパブリックな価値、さらには人間的な要素をどう組み込んでいくのかということも検討されなければならないと考える。また、お金や数値化だけでは表現されない価値をどう写し出していくのかということも考慮されなければならないのではないだろうか。 ■ 現在のしくみ 現在「おうみ」を発行している地域通貨おうみ委員会は、2001年1月13日に任意団体として設立され、2002年4月2日にはNPO法人として認証を受けた。 「おうみ」は、「おうみファンド」への寄付金100円につき1おうみが発行される。 紙券のデザインは、当初横長でお札のような型のものを簡易印刷して使用していたが、商品券や金券との違いを明確にして、人と人をつなぐコミュニケーションツールであることのアイデンティティを示すために、2000年10月より名刺サイズのものに切り替えた。また、使用している素材も琵琶湖の水質浄化機能をもっているとされる葦(ヨシ)や地域で集められた牛乳パックの再生紙を使うなど、地域性と環境にこだわったより信頼性の高いものに変更した。 おうみシステムの特色は、紙券(カード)を発行している点と、その発行を「おうみファンド(市民基金)」と連動している点にあるが、このシステムは、導入当初は主にセンター内のクーポンとしての活用をしていたため、施設使用料金との整合性が求められたことから端を発するものである。その後、実践や議論を通じて発行基準の明確化・透明性・信頼性の確保、誰でもが対等の関係において参画できるシステムとしても有効であると考えるようになった。おうみシステムのように、市場の価値と交換(換算)できることにより、多くのメリットも生み出す。例えば、「1本100円の有機栽培された大根を1おうみでも譲ります」「センター喫茶コーナーのコーヒー代は、200円または2おうみです」といった使い方が可能となるのである。 一方、市場との連動をあえて否定するという考え方も存在する。そうした立場に立つ人は、「市場と融合した瞬間、地域通貨としての存在意義は無くなる」「非貨幣部門だけに限定すべきだ」と考えているようである。 しかし我々は、コミュニティに対する市民からの寄付金と連動したシステムは、地域通貨の可能性をより一層広げるものであると確信している。コミュニティは相互扶助やボランタリーな活動に支えられていると同時に、地域経営や循環型社会の構築などの社会的課題と連続して関係している。このことから、そうしたものを包括的にマネジメントする機能があってはじめて、地域通貨としての本来の価値が発揮できると考えるからである。なお「おうみファンド」は、市民によるコミュニティのための積立金であり、その活用方法は「おうみ」の循環促進のために環境商品や福祉関連事業のチケットなどを買い取り、それを「おうみマーケット」でユーザーに提供したり、自然エネルギーに関連する市民プロジェクトやNPOへの資金助成のために使ったりすることを基本としている。 草津コミュニティ支援センターからの独立以降、センター施設で「おうみ」の利用はされなくなったが、新たに「おうみ」を活用した活動を積極的に展開する市民活動団体が現れた。 その一つが大津市で活動されているNPO法人HCCグループである。このNPOには、「おうみ」貸し出し制度を導入した。このしくみは、500おうみ(5万円相当)を市民活動団体に1年間無利子無担保で貸し出し、それぞれが工夫しながら活用していくものだ。大津市のグループではボランティアとして活動に参加した人に「おうみ」を配布し、毎月独自に実施する「おうみマーケット」で野菜や手作り品などと交換できるようにするなど、積極的に「おうみ」を活用していた。(2002年に貸出終了) また現在は、守山市の活動拠点「守山ステーション」がこの制度を導入しているが、ここでは生ごみの堆肥化への協力者に「おうみ」を配布し、その堆肥でつくった野菜を「おうみ」で手に入れる事業(やさいくるプロジェクト)を始めている。代表者がガソリンスタンドのオーナーで店内にはリサイクル品が展示されており、そうした品物を「おうみ」でも手に入れることもできる。このように、いくつかの団体や地域で多極分散型運営に移行したことは、相互交流やネットワークづくりという面においても大きな成果だった。 C導入後の効果 地域通貨導入による成果は、今のところ直接的には非常に評価しにくい。数字上で表すよりも、コミュニティの成熟度といった尺度で評価する方が良いのではないかとも思うが、敢えて若干の分析をしてみた。 ■ センター活用期の効果 当初センターで使われていた「おうみ」の利用状況および導入後の効果については、次のグラフのとおりである。 上のグラフは、事務局から見たおうみの収入財源である。施設料金・喫茶はそこで集めた「おうみ」、その他というのは無農薬野菜の販売や講座の収入などである。「前年度」よりというのは、事務局の繰越しで、新規というのは「おうみ」を発行しているおうみ事業部から事務局が補充したものである。当初、「おうみ」は閉じた空間でぐるぐる回ることを予想したのだが、実はボランティアの交換や環境商品の購入・おうみマーケットでの使用などさまざまに使われるので、個人が保有している量が多く、事務局が年度ごとに補充する必要があった。個人もちの「おうみ」は、おうみ委員会が独立したあとも、おうみマーケットやボランティアの交換などで現在も一部で回っている。 次に、下のグラフに見られるように「おうみ」の導入以降にセンターの利用率が増加した事がわかる。 利用率の向上は「おうみ」のみが要因ではないが、運営に関わる際の関わり方の選択肢が生まれたことによって、利用の幅が広がったことがこの結果を生み出したと考えられる。また、利用にあたって現金のみで支払っている団体は全体の4分の1にとどまり、他の団体は使用料の一部または全てをおうみによって支払っていた。2000年にスタッフが行ったアンケート調査によると、「おうみ」を利用料に充てられることが良いと感じている団体がかなり多いという結果が出た。 また手元の資料では、1999年1月末時点で、センター使用料に充てられた「おうみ」は777おうみだった。 その内の、4124おうみがボランティアへのお礼として支払われている。 「おうみ」の出現によって、「センターにみんなで関わり、みんなで作りあげる」という活動が新たに発生したとともに、積極的にセンターが利用されるようになったのは大きな効果であると考えられる。一般の公共施設は利用に際して事務的な処理がなされて終わるが、「おうみ」が介在することで、市民による「運営」の実感を団体やスタッフが直接的に掴み取れる仕組みになっている。なおかつ団体にとっては「おうみ」で利用料が割り引きされることから、団体への活動支援となっているため、他の施設よりも積極的にセンターを使おうと感じさせる効果を生み出すのだろう。 このように、地域密着型中間支援組織としての草津コミュニティ支援センターが地域通貨という実践的なツールを有効に活用することによって、より高いコミュニティ支援の効果を生み出す可能性があることに確信を持っている。しかし現実的には、内部的にもまた周りの状況から考えても行政と関係の深いセンター内でこの取り組みを続けていくことができなかったのが非常に残念である。地域通貨の普及とコミュニティの成熟度の関係は、今後引き続き検証していきたいところである。 ■ 京阪タクシーにおける効果 次に、2000年6月よりおうみが使えるようになった滋賀京阪タクシーにおける効果であるが、当初の利用内訳は次の表のとおりである。 タクシー会社は「おうみ」を受け入れている理由として、「これからの企業は、地域の中で儲けるか地域に根ざして信頼されるものでなければ成り立たない」と述べている。会社側からは「もっと使っていただき地域に貢献したい」との要請もあるが、全体の流通量が少ない点と、市民の発行する単なる紙切れが「本当に使えるのか?」「使っても良いのか?」という感覚が利用率を上げない要因となっているようだ。 なお、タクシー会社に集まった「おうみ」は、現在は洗車用の環境石けん購入などにあてられている。 今後は、幼稚園や小学生が行う駅周辺の清掃のボランティア活動に対してそのお礼として「おうみ」を配布する事業を計画している。また、高齢者介護に関する事業においてより積極的に連携した取り組みを行って行きたい。 ■ おうみのミッションと今後の展開 地域通貨が何らかのミッション(目的)実現のためのツールだと考えるのであれば、そのミッションを確立し、そのためのシステムとして活用できる運用方法を策定しなければならない。 「おうみ」のミッションは、次の5つに集約されている。 (1)市民社会の成熟とコミュニティの再構築 (2)新しい市民組織のマネジメント (3)ボランタリーな活動の評価 (4)地域のリソースを活かした 地域経済の活性化 (5)サスティナブルコミュニティの形成 こうした価値を実現していく上で、現在の社会基盤として欠けているものとは何か。 それは、コミュニティのために市民自身が資金を出し合っていくことも含めたパブリックで自立的な意識の成熟、行政に依存しない新しい価値を支えていくための独立した市民組織などである。どこからの援助も受けずに独立した市民組織で事業を実施していくためには、資金の確保や組織体制の確立など多くの困難を伴うが、一方で自立した活動を持続的に行うことによって、それを支える基盤も徐々に形成されていく。 おうみ委員会は、その活動拠点「ひとの駅」を2001年4月29日に独自の力で開設した。当時の拠点は駅前再開発のため取り壊しになったため、現在は史跡「草津宿本陣」がある商店街の中に場所を移して活動している。 「ひとの駅」は、地域通貨が使えるお店として毎日オープンし、ユーザー交流や各種事業の企画運営を行っている。また、草津市商店街連盟や地元NPOと連携した事業として、共通商品券型地域通貨「ありがとう券」(正式名称:おうみありがとう券)を発行している。「ありがとう券」は、国からの助成金を受けて河川清掃や植樹などの活動をしているNPO(琵琶湖ネット草津)が事業費で本券を購入し、ボランティアの方々にそのお礼として配布することが基本となっている。ボランティア活動に関わった人たちは、「ありがとう券」で相互の交流を行ったり、最終的には草津市商店街連盟加盟店全店(350店舗)で利用できる。このことによって、ボランティア活動の評価で得た「ありがとう券」が商店街の活性化にも役立つというもの。また、受け取った商店は換金することもできるが、すぐに換金せずに近隣の商店でお買い物をするなど、商店同士の交流ツールとしても活用されるよう工夫して行きたいと考えている。「ありがとう券」のしくみは、従来の共通商品券の延長上にあるものだが、その活用方法をまちづくりやパートナーシップづくりに役立つようにすることによって大きな可能性を持つ。今後、(仮称)「全国ありがとうネット」として普及啓発に力を入れていきたい。 また、もう一つの拠点「守山ステーション」では、「やさいくるプロジェクト」を実施している。この事業は、家庭で出た生ごみを堆肥化させて、その堆肥を使って採れた野菜を「おうみ」で還元している。現在は、18軒の家庭を対象に実施しているだけだが、自治会レベルで取り組みができるよう各方面に調整を図っているところだ。 「守山ステーション」は、ガソリンスタンドのオーナーが運営しているが、今後この建物を高齢者やこども、障害者などが一緒に楽しく過ごすことができるデイケアセンターとして活用していきたいと考えている。もちろん、ここでは「おうみ」を積極的に活用していく予定だが、その実現に向けて現在、大学生や里山のオーナー、ケアマネージャー、福祉関連NPOなどでプロジェクトを作って協議を重ねている。 |
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連絡先
地域通貨おうみ委員会
〒525-0036
滋賀県草津市草津町1660番地
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